ミケ日記   2007年8月

8月23日 木曜日 うす曇

昨日の雨で木や草はやっと一息ついたようである。我輩はミケ。猫である。

さて、この日記も随分と休んでしまった。じつは先月末にオットセイが入院したのである。おるかはしばらく病院に泊り込んでいたが、オットセイが大部屋に移り、容態も多少安定したので、この頃は、昼間見舞いにいって夕方には戻り、夜仕事するようになった。

まぁ、大変な事態なので、文句を言うつもりはないが、我輩も超暑い家の中に閉じ込められて、放置された気分だったのである。イライラの解消に襖をおもいっきり引き裂いてやったが、そうそう猫の気分は簡単にはもどらないのである。

ふくれていると、「ペットに癒されるって言うけど」と、おるか。「おまえって断固癒さない猫だな」。

雨上がりの庭にでてみた。百合と槿、白い花ばかりだ。貴船菊が蕾をあげている。やはりもう秋が近づいているのだ。


8月28日 火曜日 大雷雨

 なんだか雨の日にばかり日記を書いているようだ。ほくりくは7月が涼しかったのに8月になってからはここは火焔山かというような炎暑の日が続いた。それで庭の肉桂も朴の木も葉を落とし始めていた。紅葉ではなく枯れそうだったのだ。朴の葉は大きいから、ベランダに落ちると、カラッと大きな音がして妙に淋しい。

 おるかも今日は雲があると喜んでいた。 オットセイの入院している病院までまで小一時間ほどの距離だが、もう11年も乗っているボロ車で走るのはけっこう辛いらしい。県境の山や長い上り坂ではクーラーを切らないとだめなんだそうである。
 雲があるどころか、返りは前が見えないような大雨で怖かったそうだ。能登の辺りは記録的な大雨だったらしい。

 窓から見える道の向こうの崖もちょっぴり崩れていた。その崩れのうえに、向こうの御家の犬さんのだろうか、ドンブリが一個ひっくりかえりもせずに乗っていて哀愁があった。


8月29日 水曜日 雨

雨の中朝顔が軒近くにいっぱい花をつけた。おるかはオットセイに見せてやろうとカメラに採っていた。ついでにくるみの木をバックにした我輩の写真もとった。胡桃の木の枝を切ったのは夏にはいるころだったろうか。思い切って切り詰めたのに今ではふわふわに新芽を出している。まるで耳掻きの梵天(あのフワフワ)のようだ。あのときはオットセイも普通に元気だったのに。

午後いつものようにオットセイ好みのお弁当を持って病院に言ったおるかは夜遅く帰ってきた.オットセイは昨日とうって変わって調子が悪く、よほど泊まろうかと思ったが、自分も少し風邪気味なので戻ってきたそうだ。

涼しいので我輩も今日は一日部屋の真ん中で寝て過ごした。「秋の景色は哀しくて嫌だな」とおるか。この間まで晩夏の光はやたら泣かせるからいやだといってたのに。


8月31日 金曜日 曇り

 一雨ごとに秋めいてくる。我輩の大好きな季節だ。雨は嫌いだけれど気温が気持いいのだ。

きょうはオットセイは元気だった。、放射線治療の治療棟までの人気のない長い廊下を、おるかは車椅子を押しながら一緒に歌を歌って戻ったそうだ。オットセイの好きなブルーグラスとかBlue Berry hill とか。

夕方になって、オルカが帰るのを渋っているとオットセイは「帰るんなら、真夜中のコンビニで、バカなものをかってほしい」といった。「バカなものって何?」と聞くと「スミソニアン」とつぶやく。「恐竜の骨とか?」「うん、そういうのを二つは買って。」という。


 

 

 






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